妖精登場。
 シズカ、座りこむ。
灰「……。」
静「……。」
灰「どうなさったのですか?」
静「何が? 毎日来たらいけないの?」
灰「いいえ。そんな事はありません」
静「……お父さんは?」
灰「はい。仮眠を取っています。現在は36分経過しました」
静「そう。……あなたは、こんな所に閉じ込められてて、寂しくない?」
灰「いいえ。私のようなつまらない生き物を、飼っていただいているのですから」
静「どうして? ……私は寂しいよ。毎日毎日、何をしたらいいのか分からない。したい事も分からない。楽しいんだって思いこみながら、24時間が過ぎていく」
灰「不幸なのですか?」
静「ううん。きっと私はすごくは幸せなんだ。……あなたはオムライスを食べたことある?」
灰「いいえ」
静「私はあるよ。……あなたは、みんなで食卓を囲みたいとは思わないの?」
灰「いいえ。100%拒否します」
静「私はそうしたいよ。あなたにはお母さんがいる?」
灰「……いいえ」
静「私にはいたよ。あなたはお母さんの手を知ってる?」
灰「? いいえ」
 少し笑う。
静「……。私も、ほとんど覚えていないの」
灰「……。シズカ様の母君であれば、おそらく気立てのよい、美しい女性だったのでしょうね」
静「うん。それに、きっと優しい人だったよ。お兄ちゃんを産んでくれた人だから」
灰「……不幸なのですか?」
静「ううん。きっと私はすごく幸せなんだ。でも、私は寂しいよ。つまらない生き物だけど……ただ、ちょっとだけ、寂しいの……。変かな?」
灰「……いいえ」

× × ×
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