○病院
SE 電子機器、ベッドが走る
                                      (暗めに地明かり)
  祈り続ける猫。
猫「神様、神様、神様、神様、神様、神様、神様、神様、神様、神様、神様、神様、神様……」
  せわしなく歩きまわる犬。
犬「だって……だって、昨日までいつも通りだったじゃんか! なんでいきなり……」
  落ち着きのない鳩。
鳩「Ms.BB。昨日までの笑顔は……」
犬「まだしばらくは大丈夫だって……あのヤブ医者!」
鳩「Ms.BB……」
犬「帰ってきてくれよ、いつもみたいに笑顔でさ……!」
烏「いつもみたいに……咳をしながらやせ細った体を引きずって笑いながら帰ってこいって?」
  全員の視線、烏へ。
犬「何、言ってんの……?」
烏「ただでさえ、全身の筋力が衰えて辛いってのに、まだ要求するの!?」
鳩「……要求?」
烏「彼女、まるでパンドラの箱ね」
猫「パン、ドラ……?」
烏「あんたは当然知ってるでしょ?」
猫「……パンドラが造った箱には、たくさんの絶望と、たった一つの希望が入ってた」
烏「あんた達、BBが爆弾抱えてんの知ってたのに、いつまですがりついてんの?」
犬「……すがる?」
烏「そうよ! 誰よりも苦しんでいる彼女に、彼女という希望に、すがりついて離さない。あんた達はBBの絶望そのものよ!」
犬「五月蝿い!」
烏「! ……」
犬「あんたに何がわかる」
烏「分かるよ! 付き合いはまだ浅いかもしれないけど。BBがあんた達に貪られてることは、あたしにだって分かる!」
猫「違います!」
烏「何が!?」
猫「確かに僕達はBBに助けられました。BBの言葉に。BBの想いに。BBのおかげで僕達は今生きています。彼女にずっと、支えられてきた。すごく励まされて、すごく頼ったし、すごく迷惑もかけました。だからこそ、僕達は何よりも」
                                      (BGM S・I)
鳩「何よりも彼女を大切にした」
犬「私達を救ってくれたのはBBだ。だから私達は死んだってBBのために生きる。ついこの間BBに会っただけのあんたに、BBと私達の何が分かる!」
烏「そのBBが今、とても苦しんでるよ」
鳩「認識不足」
烏「?」
猫「BBは苦しんでるけど、戦ってます」
犬「私に戦う勇気をくれたのはBBだ」
鳩「彼女は同情などしなかった」
猫「僕を見ていてくれた」
犬「だから……いいか、バカラス ラッシー。BBを見ていろ、同情なんかするな。あの子は誰よりも勇気がある。BBはいま、戦ってるんだ!」
烏「……。そう。分かった、分かったよ。みんなは、BBを大好きな仲良しなんだね」
  犬、鳩、猫、見合わせて。
鳩「まぁ」
猫「それは」
犬「間違ってないな!」
SE 扉
  犬、扉の方を振り向いて。
                                          (Z・O)
SE  心停止音。                                 (Z・I)
犬「おい、ヤブ医者! BBは!?」
  はっきり聞こえるSE。
  硬直する犬。うつむく鳩。崩れ落ちる猫。
犬「……え……?」
鳩「……BB」
猫「……っ! 神様っ」
犬「……何で? 何でさ」
  狐にとびかかる犬。
犬「どういうことだよ!」
狐(OFF)「……最善をつくしましたが……」
  泣き崩れる犬。
  狐の後ろにスタスタ消えていく烏。
  狐は烏を見ない。
×  ×  ×

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