○待合室
                                        (BGM)
                                       (Fr・I)
  駆け込んでくる烏。
烏「どーゆーことよー!」
犬「うるさい!」
兎「けほっけほっ。どうしたのー?」
烏「あたしのご飯が行方不明なの」
犬「はぁ!?」
兎「ほえ……。なんで?」
烏「分かんない。ちょっと目を離した隙に……くああああ!」
犬「どーせ自分で食ったってオチでしょ」
烏「絶対違うから!」
兎「けほっ。近くは探した?」
烏「うん」
兎「それはちょっとした事件だねえ」
鳩「事件……。(くわっと目を見開いて)裁判だ。裁判を行え!」
烏「裁判!?」
犬「裁判だって!?」
猫「事件には速やかに裁判で解決を」
犬「裁判だ!」
烏「裁判だね!」
兎「けほっけほっ。事件内容はカラス ラッシー氏の食事がぬすまれた件について」
鳩「当事者の証言」
烏「あっという間のことでした。今日の午前10時20分頃、あたしはいつもの用に昼食を用意していました。おかずのさんま二匹を焼いていた時――」
 反応する猫。
猫「――にょ、さんま……」
ノバト、咳払い。顔を伏せる猫。
犬「随分早い昼食ですね」
烏「今日は、いつもより運動したから……」
兎「それで? けほっ」
烏「おかずの二匹のさんまを――」
猫「――にょにょ、さんま……!」
ノバト、二回咳払い。顔を伏せる猫。
犬「なぜ二匹も?」
烏「小振りのが二匹くっついてたから……」
兎「それから、それから? けほっ」
烏「……おかずを焼いていた時、大根おろしを用意していないことに気付いたのです!」
犬「(勢いよく)なんだと! お前、さんまを焼きだすまで――」
猫「――さんま!」
ノバト、大きく咳払い。顔を伏せる猫。
犬「二匹を焼きだすまで、大根おろしを忘れていたというのか!」
  悔しそうに膝を折る烏。
烏「……っく!」
  探偵のように壮大に言いきる犬。
犬「お前の最大の失敗は、その時、最も重要な大根おろしのことを念頭に置いていなかったことだ!」
烏「っ、だって……だって、しょうがなかったんだ! 八百屋から逃げる時、さんm……二匹も背負ってしまったら、大根まで運べるわけがないじゃないか!」
犬「……。だからって、大根おろしを忘れていい理由にはならないだろう!」
烏「く、くそおおおおっ!」
  烏の肩に手を置いて。
犬「お前はまだ若い。一からやり直せるさ」
  我に帰る烏。
烏「って、まてまてーい! 違うだろ!」
鳩「被告を召喚しなさい」
犬「陪審、この件に召喚可能な被告は存在しません。存在が無い、無在です!」
鳩「何!? 誰が無罪だと言うのだ!」
犬「無罪も有罪も無在なのです!」
烏「おいあんた、無在とは言わない。不在と言うのだ!」
鳩「被告が不在なら証人を呼べ! 何の証人だって構わん。とにかく証人を召喚しろ!」
兎「けほっけほっ。陪審、証人が到着しました」
犬「Lについてですか? そうですね、私とはあまり気の合うやつではなかったな。ただまぁ、顔が広く、かわいいものには大海原の如く心の広いヤツでしたよ。なのに、こんな事に……」
兎「Lちゃん、ですか。そーだね、とってもいい子だったよ。けほっ。周りの事を良く見ていて、すごく、優しい子でしたよ。それが……」
猫「……L? さぁ。あまり、話さなかった。ただ……よく、笑っていた……」
烏「ってぇ、あたしは死んでないから!!」
烏以外笑う。
犬「悪意ある全てに正義のジャッジを!」
兎「迷える子羊たちに光の道しるべを! けほっ」
鳩「閉廷! 閉廷!」
烏「って、何も解決してないし!」
兎「ノバトのおじさま、どうしよう?」
  首を振る鳩。
兎「んー……。それは困ったねえ」
  顔を上げる猫。
猫「BB、困ったのですか?」
兎「ほえ? あー、うん、ちょっとねぇ。けほっけほっ。友達のラッシーちゃんがピンチだから、わたし 
も少し、困ったねぇ」
無言で立ち上がる猫。そのまま出ていく。
                                        (Fr・O)
犬「ん? シャルマンのやつ、どうした?」
BB、入口を見つめる。
烏「……。さぁ。けほっけほっ」
×  ×  ×

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