× × × (夜、朝のホリ)
○川のほとり(昼)
橋が架かっている。
SE
ほとりにやって来た大工、ほとりで遊んでいる鬼六と兄妹。
(BGM F・I)
鬼六たちに声をかける大工、喜ぶ兄妹、頭を撫でてやる。
しばらく遊ぶ。(男 釣り、女 花冠など)
○川のほとり(夕)
兄妹二人で遊んでいる。
大工と鬼六、座って話しだす。
(BGM Z・O)
穏やかな表情の二人。
大「橋、ありがとう」
鬼「約束だからね」
大「僕も約束は守る。必ず、あなたの名前を見つけるよ」
前を見たままうなずく鬼六。
大「まぁ、一つ欲を言えば……どーせなら、石で造ってくれても良かったんだよ?」
立ち上がって腕組みの鬼六。
鬼「若造め。木製だって立派な橋だろうが」
大「わかってるってー(笑う)」
SE
× × × (BGM Z・I)
鬼六と別れる、兄妹手を振る。途中まで一緒に帰る大工。 (暗い夕のほり)
(BGM F・O)
兄妹の童歌に気付く大工。
兄妹 M「小さな鬼の鬼六さん 右手に目玉 左手にお花 はやくはやく 帰っておくれ」
大きく目を見開く、驚きと衝撃。
大「! ……その歌、なんだ?」
シ「僕達の生みの親の村で伝わっていた童歌らしいです。耳馴染みがあるだけですけど」
ハ「……。っ(泣きだす)母さん……。(シノにくっつく)」
ハマジを撫でながら喋るシノ。
シ「その村ではなんでも、昔から鬼が出るとかで、時々人間の前に現れては、大量の花か一対の目玉を
ほしがったそうです」
泣きやんできたハマジ。
ハ「っ……。お花あげて、帰ってもらえるようにお願いするの……」
大工にお辞儀する兄妹。
(Fr・O)
何か納得したような大工。
大「……へー……」
一度はけてから家に帰る大工。
× × ×
○室内(夜)
大雨のSE
暗い部屋で一人、思い出しながらつぶやく大工。
大「小さな鬼の鬼六さん 右手に目玉 左手にお花 はやくはやく 帰っておくれ……」
いろいろ思案する大工。しばらくして顔をあげる。
名前がわかった。
大「目玉か花をほしがる鬼。記憶のないあの人。鬼六……。……そいうことか(つぶやき)」
宙を見つめたまま座りこむ大工。
大「――いいよ。目玉なんて。ほしい物は何だってあげる。だけど、僕はあなたに名前を告げる――」
我に返る(大雨の音で)。
(BGM S・I)
大「っ、なんて大雨だ……。! 橋は――(勢いよく立ちあがる)」
戸を激しく叩く音。切羽詰まった様子で入って来たハマジ。
大「! どうした!?」
息の切れたハマジ、すがるように助けを求める。
ハ「兄さんが……! それに、お姉さんも……」
真っ青な顔で部屋を飛び出す大工。
(スポット)
誰もいない部屋で祈るようなハマジ。
ハ「あぁ、やっぱりお姉さんは人間ではなかったのね……だけど、何だっていい。兄さんを、 たった一人の兄さんを、助けて……!」
(暗転)
○川のほとり(昼)
橋が架かっている。
SE
ほとりにやって来た大工、ほとりで遊んでいる鬼六と兄妹。
(BGM F・I)
鬼六たちに声をかける大工、喜ぶ兄妹、頭を撫でてやる。
しばらく遊ぶ。(男 釣り、女 花冠など)
○川のほとり(夕)
兄妹二人で遊んでいる。
大工と鬼六、座って話しだす。
(BGM Z・O)
穏やかな表情の二人。
大「橋、ありがとう」
鬼「約束だからね」
大「僕も約束は守る。必ず、あなたの名前を見つけるよ」
前を見たままうなずく鬼六。
大「まぁ、一つ欲を言えば……どーせなら、石で造ってくれても良かったんだよ?」
立ち上がって腕組みの鬼六。
鬼「若造め。木製だって立派な橋だろうが」
大「わかってるってー(笑う)」
SE
× × × (BGM Z・I)
鬼六と別れる、兄妹手を振る。途中まで一緒に帰る大工。 (暗い夕のほり)
(BGM F・O)
兄妹の童歌に気付く大工。
兄妹 M「小さな鬼の鬼六さん 右手に目玉 左手にお花 はやくはやく 帰っておくれ」
大きく目を見開く、驚きと衝撃。
大「! ……その歌、なんだ?」
シ「僕達の生みの親の村で伝わっていた童歌らしいです。耳馴染みがあるだけですけど」
ハ「……。っ(泣きだす)母さん……。(シノにくっつく)」
ハマジを撫でながら喋るシノ。
シ「その村ではなんでも、昔から鬼が出るとかで、時々人間の前に現れては、大量の花か一対の目玉を
ほしがったそうです」
泣きやんできたハマジ。
ハ「っ……。お花あげて、帰ってもらえるようにお願いするの……」
大工にお辞儀する兄妹。
(Fr・O)
何か納得したような大工。
大「……へー……」
一度はけてから家に帰る大工。
× × ×
○室内(夜)
大雨のSE
暗い部屋で一人、思い出しながらつぶやく大工。
大「小さな鬼の鬼六さん 右手に目玉 左手にお花 はやくはやく 帰っておくれ……」
いろいろ思案する大工。しばらくして顔をあげる。
名前がわかった。
大「目玉か花をほしがる鬼。記憶のないあの人。鬼六……。……そいうことか(つぶやき)」
宙を見つめたまま座りこむ大工。
大「――いいよ。目玉なんて。ほしい物は何だってあげる。だけど、僕はあなたに名前を告げる――」
我に返る(大雨の音で)。
(BGM S・I)
大「っ、なんて大雨だ……。! 橋は――(勢いよく立ちあがる)」
戸を激しく叩く音。切羽詰まった様子で入って来たハマジ。
大「! どうした!?」
息の切れたハマジ、すがるように助けを求める。
ハ「兄さんが……! それに、お姉さんも……」
真っ青な顔で部屋を飛び出す大工。
(スポット)
誰もいない部屋で祈るようなハマジ。
ハ「あぁ、やっぱりお姉さんは人間ではなかったのね……だけど、何だっていい。兄さんを、 たった一人の兄さんを、助けて……!」
(暗転)
スポンサードリンク
SCREENPLAYについて
Author:秋花衣童
ここには自分が演劇用に書いた脚本を置いています。
まぁ、没ったからあげてるわけですが……
それでも感想なんか頂けると嬉しいですね(^_^;)
ここには自分が演劇用に書いた脚本を置いています。
まぁ、没ったからあげてるわけですが……
それでも感想なんか頂けると嬉しいですね(^_^;)