×  ×  × (夜、朝、昼、夕のホリ)
○川のそば(夜に近い夕)
  向かい合って立つ二人。決意の顔の大工、冷たい目の鬼六。
SE
  沈黙のなか。
大「僕は、大工だ。目はやれん」
  ゆっくり一歩ずつ大工に近寄る鬼六。急に雰囲気が一変した鬼六、くるりと前を向いて。
鬼「別にいーよぉ(幼く)」
  驚く大工。
大「軽!」
鬼「じゃあ、代わりに私の名前をあててみて」
大「は、名前……?」
  大工にニッと笑う鬼六。
大「! なんで僕がそんなこと……」
鬼「ホントは大工さんの大事なモノを奪うのが普通なんだけど、代わりに、私に大事なモノを取り戻さ
せて」
大「あなたは、名前がないのか?」
鬼「人間たちには鬼六と呼ばれてるわ。けど、本当の名は分からない。ずっと昔、気づいたらここにい
たの」
大「村に伝わる童歌にも鬼六ってあったな……」
  少し大人びて言う鬼六。
鬼「私は私の事を知りたい。名前だって、これからのことだって……」
  鬼六を見つめる大工、間。
                                    (夜のほり)
                                 (BGM S・I)
大「……。いいよ。あなたの名前を探そう、鬼六」
  大工を見て笑う鬼六。
鬼「――ありがとう、大工さん」


スポンサードリンク


この広告は一定期間更新がない場合に表示されます。
コンテンツの更新が行われると非表示に戻ります。
また、プレミアムユーザーになると常に非表示になります。