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タンタンタンタン。コトコトコトコト

ご苦労様です。よくやってくれました

夢枕に立てたのは皆さまのお力添えのおかげです

無事御勤めを成し遂げたあなたという霊魂は、困難な試練を乗り越えたとして、天使という階級へ昇格になりました。今後も下界と天上の掛け橋としての使者の誇りを忘れてはなりませんよ

はい。ありがたく受け賜わります

……何かいい事でもありましたか?

心なしか、笑顔が爽やかです

分かったんです。私の歩むべき道が

道?

人間が皆平等なわけないんです。皆が皆等しく幸せだなんてありえないんです。だってみんな違う一人一人だもの。だけど、皆が皆それぞれ幸せになることはできるんです。だけど、悪人は皆、等しく報いを受けねばなりません。罪人は皆平等に裁かれるべきだ

……それで?

あなたには力がある。平等な幸せをつくることはできなくても、平等に裁くことは可能でしょう。皆普通が一番ほしいのに!なのにあなたはそうしない

使者様! それ以上は―― !

だったら私がやります。あなたではできない、あなたはやらなかった、普通……「平等」というものを、私は徹底する
(衣装替え→黒)

あなたは一体、どこまで堕ちていくのかしら?

私は堕ちているのですか?

堕ちる天使

堕ちている天使

一人の天使

孤独な天使

くすんだ天使

黒い天使

頭上に浮かぶは

断罪の環

背負う翼は

黒の六枚羽

堕ちる。堕ちる

黒い翼は重いから

後ろを向かれた天使は歌う

堕ちながら、歌う

一体……一体誰に、何を吹きこまれた!

クシ姫……。使者様! どういうおつもりですか?

歳徳神のもとには降らない、ということですよ

っ! うるさい! うるさいうるさい! そんな風に私を呼ぶなっ!

おやめください! 冗談が過ぎますよ!

(ウー登場)
ウィーウィ。彼女は始めっから本気さ。分からない君じゃないだろ?

! ウー様……まさか、まさか貴方が……!

ウーちゃん……。なんで? なんでこんな事になってるのよ!

取引をしたの、覚えているかい?

!? あれはっ…… 使命を果たした後のあの子は君に任せる……

君は確かにそう言ったね

それが、約束。約束の糸

約束は不透明。細い細い糸の先

だけどボクは約束はしない。あれはよく、果たされないからね

垂らされた糸は、あまりにも細かった

瞬いた炎は、あまりにも淡かった

だから取引

いい、商売

手伝う代わりに成立した

取引

あれは、あの子をそんな風に堕落させるために交わしたものではないわ!

堕落じゃないさ。決意だよ。彼女なりの、精一杯の。ねぇクシ姫。君は一人の怖さは知っているけど、必要とされなくなる怖さは知らないだろう? 君は死ぬ前から神だと決まっていたって言うけど、それは違う

私は、死ぬ前から神になる運命だったに違いない

いいや。君は生まれる前から神だった

私は、生まれる前から神になる運命だったに違いない

いいや。君は生まれる前から既に神だった



やめて! 私を、神だなんて呼ぶな!

昔、ボクが孤独の海に取り残されていたころ、手を差し伸べて君は言ってくれたね。突き放したりなんてしない、絶対に一人になんかならないよって。確かにボクは一人じゃなくなった。だけど知ったのさ。言ったろう?最高の友は最悪の敵だって……

(泣きながら首を振って)
っ…… ウーちゃん!

歳徳神。あなたは神様で、とても偉い方で、すごく綺麗で……なんだか遠い人みたいだけど、初めて会った時に言ったじゃないですか。皆誰もが、幸せになりたいと願うことは、すごくすごく、大切で愛しいことだって――あなたは間違っていない。生きるってきっとそういうことだから。だからこそ、私はあなたとは違う道を行く。綺麗じゃなくたっていい。だれよりも人間に近い存在で有り続けてやる

エマ……(泣くのをやめる)

裏切るつもりですか!?

裏切り

それならそれでいい。同情されるのは簡単だ。哀れみを乞うのは簡単だ。裏切ることだって、簡単だ――
(出て行こうとする)

本当に! 本当にそう、思っているんですか……?

(足を止める)……。(無言で出ていく)

あらら。先行っちゃった……

……私に牙をむくの?

まさか。君とはこれからだって最高の友達でありたいよ?

っ何をぬけぬけと――

クシ、君は前を向いていていいんだよ? 君はボクを一等好きだって言ってくれたけど、ボクだって君を一等大好きなんだからさ

……。ばかね。だったら私たちは、一生敵同士じゃない

姫……。クシ姫! 自分は絶対にお傍をはなれません! 

! マリ?

自分は……陽炎です。貴方がいないと意味がないんです

あっと、そうだ陽炎。彼女――エマの一番の願いって知ってるか? 

使者様の、一番の願い…… 

それと、そんな毛布、いつまでも持っていることないよ(出て行こうとする)

何故主の毛布を…… ! 貴方は――

しー(口元に指)

(呼び止める)
ウーちゃん! 君が言ったことは正しかったよ。私達は、どうやっても交わらない。永遠に平行線だ

……。
(振り向いて)そりゃいい。それ以上離れることはないって事だな、クシ

(ウーはける)

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