○室内
薄暗い部屋、奥に引き戸、客席を向く大工(24)。無表情で語り。
(スポット1 F・I)
目を開ける。
大「あの童歌。いまではこう伝わっています」
(スポット2 C・I)
シノ(18)とハマジ(15)。
兄妹「大きな鬼の、鬼六さん。人間の目玉を、おみやげに。早く帰って、来ておくれ」
(スポット2 C・O)
(F・I)
座りこむ大工(24)。
大「皮肉だな……」
シノ(18)、入って来る。
シ「棟梁、仕込みもうすぐ終わります」
大「分かった。先行ってくれ」
少し躊躇、悲しい顔をして。
シ「……はい」
一礼して退出するシノ。
一人溜息をつく大工。
SE 戸の開く音。
(BGM S・I)
うつむいて入って来る鬼六。
大「すみません。まだ仕込みの途中なんで――!(立ち上がりながら)」
大工を遮るように言う鬼六。
鬼「――君さぁ、引っ越すんなら言ってよ。探しちゃったじゃん」
勢いよく振り向く大工。
鬼六、顔をあげて、笑顔で。
鬼「ただいま」
(BGM Z・I)
驚いて硬直する大工。
丁度出てきたシノとハマジ、鬼六を見て驚き、飛びつく。
(BGM F・O)
大工、笑って手を差し出す。
大「おかえり」
(暗転)
(BGM F・I)
(スポット)
シ「昔々ある所に、たいそう花の似合う美しい鬼がいました」
ハ「鬼は、小さな村のそばを流れる大きな川に決して流されることのない、立派な橋を架けました」
シ「その後鬼は、大事な人達と幸せに暮らしたそうです」
ハ「けれど、人間よりもずっと長寿な鬼は、大事な人達と離れ離れになってしまいました」
シ「涙も枯れるほど泣いたその鬼は全身が涙色になってしました」
ハ「ある時、鬼は旅に出ます」
シ「どこかの山奥で、人間と仲良くなりたいという赤鬼に出会うのは、また別のお話」
ハ「その美しい鬼の名は――」
(F・I)
兄妹、左右に分かれる。二人の間に大工と鬼六。
大(M)「 (手を差し出す)」
(BGM Z・I)
笑って手をとる鬼六。
(BGM F・O)
(F・O)
(終わり)
薄暗い部屋、奥に引き戸、客席を向く大工(24)。無表情で語り。
(スポット1 F・I)
目を開ける。
大「あの童歌。いまではこう伝わっています」
(スポット2 C・I)
シノ(18)とハマジ(15)。
兄妹「大きな鬼の、鬼六さん。人間の目玉を、おみやげに。早く帰って、来ておくれ」
(スポット2 C・O)
(F・I)
座りこむ大工(24)。
大「皮肉だな……」
シノ(18)、入って来る。
シ「棟梁、仕込みもうすぐ終わります」
大「分かった。先行ってくれ」
少し躊躇、悲しい顔をして。
シ「……はい」
一礼して退出するシノ。
一人溜息をつく大工。
SE 戸の開く音。
(BGM S・I)
うつむいて入って来る鬼六。
大「すみません。まだ仕込みの途中なんで――!(立ち上がりながら)」
大工を遮るように言う鬼六。
鬼「――君さぁ、引っ越すんなら言ってよ。探しちゃったじゃん」
勢いよく振り向く大工。
鬼六、顔をあげて、笑顔で。
鬼「ただいま」
(BGM Z・I)
驚いて硬直する大工。
丁度出てきたシノとハマジ、鬼六を見て驚き、飛びつく。
(BGM F・O)
大工、笑って手を差し出す。
大「おかえり」
(暗転)
(BGM F・I)
(スポット)
シ「昔々ある所に、たいそう花の似合う美しい鬼がいました」
ハ「鬼は、小さな村のそばを流れる大きな川に決して流されることのない、立派な橋を架けました」
シ「その後鬼は、大事な人達と幸せに暮らしたそうです」
ハ「けれど、人間よりもずっと長寿な鬼は、大事な人達と離れ離れになってしまいました」
シ「涙も枯れるほど泣いたその鬼は全身が涙色になってしました」
ハ「ある時、鬼は旅に出ます」
シ「どこかの山奥で、人間と仲良くなりたいという赤鬼に出会うのは、また別のお話」
ハ「その美しい鬼の名は――」
(F・I)
兄妹、左右に分かれる。二人の間に大工と鬼六。
大(M)「 (手を差し出す)」
(BGM Z・I)
笑って手をとる鬼六。
(BGM F・O)
(F・O)
(終わり)
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SCREENPLAYについて
Author:秋花衣童
ここには自分が演劇用に書いた脚本を置いています。
まぁ、没ったからあげてるわけですが……
それでも感想なんか頂けると嬉しいですね(^_^;)
ここには自分が演劇用に書いた脚本を置いています。
まぁ、没ったからあげてるわけですが……
それでも感想なんか頂けると嬉しいですね(^_^;)