(お茶会にて)
いいこと、従者! 私は赤の女王。この美しさとこの気高さでここまできたのよ
はい、女王様。存じております
私は赤の女王。赤は私のトレードマークよ。だから国も赤を重んじるわ
はい、女王様。赤ですね
それが何よ! あんな、あんな女、名を聞くのだってとんでもないというのに……あんな、あんな真っ黒な女! 見た目が黒いのも腹が立つと言うのに、あの女は腹の中まで真っ黒に違いないわ!
腹の中まで……
王子も王子よ! なんで私宛(あて)の感謝状にあの女の名を書くのよ!全然なってないわ。ふん、何よ、あんな男、もう二度とかまってあげないんだから
な、女王様、それはちょっと……
何よ。向こうから謝罪してこない限り知らないわよ
女王様、思い出してごらんなさいませ。あの日の王子様を。宝石の贈り物、柔(やわ)らかな御髪(おぐし)、艶(つや)やかな瞳、神々(こうごう)しい御衣裳(ごいしょう)、どれをとっても麗(うるわ)しいじゃありませんか
……ま、まあね。外見は悪くなかったものね
外見だけでございますか?
まぁ、立ち振る舞いも作法も文句なしだし、お優しかったし、細かい気遣いとかなさるし、微笑みとか素敵だったし、正直かなりきてた、事もなくもなかったわ、ね
でございましょう? 王子様はあんなに素敵だったではありませんか
そ、そうねぇ。あれ、でも、だったら何、やっぱり悪いのは、あの女じゃない! キーーッ!!
女王様ぁ……。はっ、あれはもしや
ごきげんよう
(黒の女王、魔法使い登場)
(魔法使い、黒の女王の順に気づく)
げっ……
あーら、これはこれは、珍しいお人がいらっしゃるわ(わざとらしく)
相変わらず趣味の悪い出(い)で立(た)ちだこと
まーあ、こんな所でお会いするなんて、偶然ですねぇ(わざとらしく)
相変わらずみっともない色ですこと
あぁ、私はいつもここを利用しているんですのよ。貴女はわざわざここまでどうなさったの、赤の女王?
外交の帰りでして。本当に偶然ここを訪れたのですけれど、まさかこんな所で予想もしない方に偶然会ってしまったものですから。黒の女王?
まぁ、偶然って怖いわねぇ。それにしても、外交の帰りにお茶に寄るだなんて、私にはとても真似できないわ。私は知人に頼まれて忙しいなか参加しているわけだけど、赤の女王っていうのは、案外時間に余裕があるのねぇ
あらぁ、私はこうして自分の時間をこういった場に使用しているのですけれど、多忙と噂に聞く黒の女王は普段からこういう御予定なのですね。羨(うらや)ましい限りですわ
まぁ、お茶の時間もまともに確保できないなんて、あぁ、道理で最近良いお噂を耳にしないわけだわ。殿方(とのがた)から
一体どんな噂なのかしら。私、幾分興味がわいてきましたわ
いえいえ、お話するようなことは何もありませんわよ?
あらぁ、そうですの?
まぁ、そうなんですわ
あらぁ……
まぁ……
あらあらぁ……
まあまぁ……
(バチバチ)
じょ、女王(様)!
(割って入る)
お、落ち着いて下さい、深呼吸です
こんな所でいがみ合ってもしょうがないですよ?
……ふんっ!
(そろって)
(女王たち退場)
(顔を見合わせて溜息)
(場転)
いいこと、従者! 私は赤の女王。この美しさとこの気高さでここまできたのよ
はい、女王様。存じております
私は赤の女王。赤は私のトレードマークよ。だから国も赤を重んじるわ
はい、女王様。赤ですね
それが何よ! あんな、あんな女、名を聞くのだってとんでもないというのに……あんな、あんな真っ黒な女! 見た目が黒いのも腹が立つと言うのに、あの女は腹の中まで真っ黒に違いないわ!
腹の中まで……
王子も王子よ! なんで私宛(あて)の感謝状にあの女の名を書くのよ!全然なってないわ。ふん、何よ、あんな男、もう二度とかまってあげないんだから
な、女王様、それはちょっと……
何よ。向こうから謝罪してこない限り知らないわよ
女王様、思い出してごらんなさいませ。あの日の王子様を。宝石の贈り物、柔(やわ)らかな御髪(おぐし)、艶(つや)やかな瞳、神々(こうごう)しい御衣裳(ごいしょう)、どれをとっても麗(うるわ)しいじゃありませんか
……ま、まあね。外見は悪くなかったものね
外見だけでございますか?
まぁ、立ち振る舞いも作法も文句なしだし、お優しかったし、細かい気遣いとかなさるし、微笑みとか素敵だったし、正直かなりきてた、事もなくもなかったわ、ね
でございましょう? 王子様はあんなに素敵だったではありませんか
そ、そうねぇ。あれ、でも、だったら何、やっぱり悪いのは、あの女じゃない! キーーッ!!
女王様ぁ……。はっ、あれはもしや
ごきげんよう
(黒の女王、魔法使い登場)
(魔法使い、黒の女王の順に気づく)
げっ……
あーら、これはこれは、珍しいお人がいらっしゃるわ(わざとらしく)
相変わらず趣味の悪い出(い)で立(た)ちだこと
まーあ、こんな所でお会いするなんて、偶然ですねぇ(わざとらしく)
相変わらずみっともない色ですこと
あぁ、私はいつもここを利用しているんですのよ。貴女はわざわざここまでどうなさったの、赤の女王?
外交の帰りでして。本当に偶然ここを訪れたのですけれど、まさかこんな所で予想もしない方に偶然会ってしまったものですから。黒の女王?
まぁ、偶然って怖いわねぇ。それにしても、外交の帰りにお茶に寄るだなんて、私にはとても真似できないわ。私は知人に頼まれて忙しいなか参加しているわけだけど、赤の女王っていうのは、案外時間に余裕があるのねぇ
あらぁ、私はこうして自分の時間をこういった場に使用しているのですけれど、多忙と噂に聞く黒の女王は普段からこういう御予定なのですね。羨(うらや)ましい限りですわ
まぁ、お茶の時間もまともに確保できないなんて、あぁ、道理で最近良いお噂を耳にしないわけだわ。殿方(とのがた)から
一体どんな噂なのかしら。私、幾分興味がわいてきましたわ
いえいえ、お話するようなことは何もありませんわよ?
あらぁ、そうですの?
まぁ、そうなんですわ
あらぁ……
まぁ……
あらあらぁ……
まあまぁ……
(バチバチ)
じょ、女王(様)!
(割って入る)
お、落ち着いて下さい、深呼吸です
こんな所でいがみ合ってもしょうがないですよ?
……ふんっ!
(そろって)
(女王たち退場)
(顔を見合わせて溜息)
(場転)
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SCREENPLAYについて
Author:秋花衣童
ここには自分が演劇用に書いた脚本を置いています。
まぁ、没ったからあげてるわけですが……
それでも感想なんか頂けると嬉しいですね(^_^;)
ここには自分が演劇用に書いた脚本を置いています。
まぁ、没ったからあげてるわけですが……
それでも感想なんか頂けると嬉しいですね(^_^;)