「じゃじゃーん!」
夕食の直後、すごくうれしそうな笑顔で
ウィンリィは大きなお皿をかかえてやってきた。
お皿にはあまく、こおばしい香りと一緒に
おおきめのパイがのっていた。
「おぉ、アップルパイか」
「わぁ、おいしそうだねえ」
エドとアルが関心する。
「へへ」
得意そうな顔から、ウィンリィはふっとなつかしそうな顔になる。
「ちょっと前、グレイシアさんに教わったの」。
           
少しの沈黙。
     『ヒューズが死んだ』    
大佐の言葉が脳裏を過る。
「ウィンリィ、き・・・・」
「おお!じゃぁ、食うか! ほら、ウィンリィも食えよ」
アルの言葉をさえぎるように、
エドが陽気に言った。
「兄さんっ」
「アルっ!!」
「「っ 」」
エドの大声に2人が黙る。
「ごめん、兄さん」

分かっていた。
とうに。
いつか、いつかはきちんと話さなくちゃいけないことは。
だけど。
だけど今は。
今くらいは、幸せな時をすごそう。

「パイ、切るよ?」
ウィンリィは微笑み、言った。
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